マーケティング・プロセスとは、直訳すると「マーケティングの過程」ですが、これはマーケティング戦略の立案から実行に至るまでの一連の流れを指し、次の 6 つで構成されています。
- 市場調査(市場分析)
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- マーケティングミックス
- マーケティング戦略の実施
これら 6 つの構成要素について、個別に見ていきましょう。

1. 市場調査(市場分析/環境分析)
何か商品やサービスを製造、開発、販売する場合、最初に行うのがこの調査・分析で、大きく二つに分けて行われます。「外部環境」と「内部環境」です。
外部環境:流行していることは何か、競合はいるのか、顧客は何を求めているのかなど
内部環境:自社(サービス、人材)のもつ強みや弱みは何かなど
これらを分析する際に用いられる手法が、PEST 分析や5F 分析、SWOT 分析、3C 分析という手法です。(これら手法についての解説は、今後改めてまとめる予定です。)
2. セグメンテーション

セグメンテーションとは、直訳すると「分類」という意味になります。
環境分析の結果を踏まえて、不特定多数の人々を同じ属性を持つ固まりに分けることをいい、「市場の細分化」ともいわれます。
分類の方法としては、地理的に分類する地理的変数(ジオグラフィック変数)や、年齢や性別、世帯規模などで分類する人口動態変数(デモグラフィック変数)などの方法がとられます。
このセグメンテーション(Segmentation)と後述のターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字から、まとめてSTP 分析といわれています。
3. ターゲティング
ターゲティングとは、セグメンテーションの結果、どの市場を狙うかを決定することをいいます。
言い換えれば、「どういう人に買ってもらいたいか」を決めることであるともいえます。男性向けなのか、女性向けなのか、または若年者向けなのか、高齢者向けなのか、などを決めていきます。
その結果、「地方在住、年収 500 万円、既婚男性、営業職」とした場合、消費者の行動やニーズの多様化している現代において十分にターゲティングが行えるとは限りません。
地方といっても都市部までのアクセスのしやすさ、既婚といっても子供がいるのかいないのか、子供がいる場合は何歳くらいなのか、両親と同居しているのか等々。
商品やサービスを開発し販売するためには、より細かい部分でのターゲットのイメージが必要になってきます。
そこで用いられる手法がペルソナマーケティングという手法で、年齢や性別、居住地、職業といった大まかな情報だけでなく、趣味、特技、家族、ライフスタイルなど細かな部分を想定して行われます。
ここでの詳しい説明は割愛しますが、「ターゲティングよりも、深堀した個人を想定して行うマーケティング手法」とまとめておきます。
4. ポジショニング

STP 分析の 3 つ目であるポジショニングについてです。ポジショニングとは、自社の商品やサービスを他社のそれと「差別化」を行うことをいいます。
しかし、差別化を行えば成功するというものではなく、顧客の”ニーズ”と”ウォンツ”を考慮する必要があります。
ポジショニングは 4 象限マトリクスで図式化されることが多いですが、他社の位置しない部分にポジショニングを置いたとしても、”ニーズ”と”ウォンツ”がなければ、ただのユニークなものになってしまい兼ねないことに注意が必要です。
5. マーケティングミックス

このステップでは、ここまでのプロセスで明確化された戦略を具体的にすることとなります。
その際に用いられる代表的なフレームワークとして、4P、4Cという手法があります。4P が売り手の視点に立っているのに対して、4C は買い手の視点に立っているといえます。
4P とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の 4 つの P から始まる言葉を指しています。
1960 年代に経済学者のジェローム・マッカーシーが提唱したフレームワークです。
これに対抗する形で、1990 年代に同じく経済学者のロバート・ローターボーンが提唱したのが 4C で、顧客価値(Customer Value)、顧客にとっての費用(Cost)、顧客利便性(Convenience)、顧客とのコミュニケーション(Communication)を指します。
この 4C の概念は、4P が売る側の視点で、どんな製品を作って、その価格を決め、流通チャネルを選択し、どう販促するかを思考しているのに対して、買い手の視点で再定義がされています。
6. マーケティング戦略の実施
ここまで踏んできた 5 つのステップを総決算するのが、マーケティング戦略の実施です。各ステップを実施して完了ではありません。
これらのステップを踏むことによって目標とする結果を上げることが最終目的地です。
行った施策が上手くいかなかった場合は、これまでのステップを振り返って、どこにボトルネックがあったのかを検証し、改善しなければなりません。
このように、常にPDCAのサイクルを回し、想定した成果を上げられる施策を講じていく必要があります。
マーケティングプロセスを構成する 6 つのステップについて簡単にご紹介しました。
いずれのステップも、一つ手前のステップで確かな決定が行われたことを前提として進んでいきます。ス
テップ通りに実施することを目的とするのではなく、想定した結果(成果)を上げるためには、PDCA のサイクルを回し常に改善をし続ける必要があります。